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尾崎 美樹インタビュー「Beautiful Tree ~東京で生きる彼女、青森という存在~」<後編>

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尾崎 美樹インタビュー「Beautiful Tree ~東京で生きる彼女、青森という存在~」<後編>

この記事を書いた人

ハリー

ハリー

美容室アトリエハリヤマ/美容師

自称、青森で一番「ヘッドスパ」に情熱を注ぐ美容師。青森県の耳よりな情報を、雑誌やWEBマガジンに寄稿し、全国へ発信する「ライター活動」も細々とやっている。

前回の記事はこちら

こんにちは。ハリーです。

他県で生活している青森県出身者にとって、青森ってどんな土地? いや、どんな存在なのでしょう?

前回の記事に引き続き、青森県出身で現在は東京でソロシンガーとして活躍中の「尾崎 美樹(おざき みき)」さんに、お話を伺いました。

見えてきたのは、意外な答えでした。

萱野茶屋とおでん

合浦公園をあとにして、次は山へ向かうことにした。

八甲田山麓に位置する、萱野高原。

彼女と僕は、ここにある茶屋に入って、おでんを注文した。

青森のおでんって、どうして生姜味噌なのでしょうね?

たしか、青函連絡船を待っている間に乗客が冷えないように、味噌に生姜を入れたのが
始まりだったと思うよ。

そういえば、僕自身も久しぶりに、ここのおでんを食べた。ということを思い出した。

いつもドライブで通る道なのに、ここで休憩することは少なかった。

青森市から30分もあれば着く、自然いっぱいの素晴らしい場所であることに、
僕自身もすっかり慣れてしまっていたようだ。

この萱野高原は、小学生の頃に、よく家族で遊びにきていた。
学校の遠足でも、度々訪れていた場所だった。

自分以外の誰かとここへ来たのは、ずいぶん久しぶりのようにも感じた。

都会と、緑

次の目的地へ向かう間、車の中で彼女と色々なことを話した。

ー休日は、どんな風に過ごしてるの?

わりと、家でゆっくり過ごすことが多いかもしれませんね。

この時僕は、少し驚いた顔をしていたと思う。

ー遊ぶところがたくさんあるのに、意外だね。

たしかに、友達と渋谷なんかに遊びに行くことはありますけど、人が多すぎて
疲れちゃうこともあります。

頭の中で、数年前に東京へ遊びに行ったときのことを思い浮かべてみた。

昼下がり。

東北新幹線をおりて、東京駅の外へ向かう。

人。人。ひと。

地下鉄に乗る。

人。人。

みんな、スマホをいじっているか、寝ている。

人。人。ひと。

久々の都会らしい光景に、気持ちが高まる。

しかし、人。ひと。

まるで、青森ねぶた祭の最終日だ。

 

ーきっと僕は、東京の人の多さには、なかなか慣れることはないだろうなぁ。

みんな、急いで移動してますよね。今でもびっくりします。

 

それに比べて、窓の外を流れていくこの緑の景色。

木。

木。

すれ違うオートバイ。

木。

十和田湖までの案内板。

木。

木。

なんだかずいぶんゆっくりと時間が流れていくように思えた。

この環境を良しと思うか、でもやっぱり都会が楽しいと思うかは、人それぞれ違うのだろう。

ほっとする存在

彼女に見せたかった場所は、八甲田山を走る道路の中でも、特に標高が高い所にあった。

「睡蓮沼(すいれんぬま)」

ここは、四季を通じて様々な景色を眺められる、八甲田山の名所だ。
特にこれから迎える秋の紅葉は、道路が渋滞してしまうほど、多くの観光客が
やってくる絶景スポットになる。

夏から秋へと変わりかけの今の時期は、人もまばらだった。

すごい……初めて来ました。

ーいい場所でしょ?

こんな場所が、地元にあったのは知らなかったです……

見ると、ずいぶんと大きなトンボが空を舞い、時々水面に止まっていた。
どうやら産卵をしているようだった。

ーもう少し晴れてくれたら、素晴らしい景色を見せられたんだけどね。

いえ、十分ですよ。この場所を知れただけでも、幸せです。

柔らかく吹きつけた風は、明らかに湿気が感じられなかった。
秋は、勇み足でやってきている。

突然、彼女はつぶやいた。

ほっとする存在です。

ーあぁ、この場所?

いえ。「私にとっての青森の、全部が」です。

聞くまでもなかったのか。それとも、僕の心を読んでいたのか。
聞いてみたいその言葉の答えは、意外な形でやって来た。

木々の輝き

大都会で生きている彼女。

それも、たくさんの人の前で歌う機会もある、僕の知らない
色々な世界を知っている彼女。

彼女にとって、東京は夢を叶えるための場所であり、
青森は、羽をのばして安らげる、唯一無二の存在だった。

睡蓮沼は、あと数カ月で、完全に雪に覆われる。

あのトンボが残した次の命は、白い布団の下でゆっくりと
春を待つのだろう。

空に目をやれば、やはり分厚い曇り空が広がっていた。
しかしその一点から、少し明るい光が、一瞬だけ見えた。

途端に、周りを覆っていた木々は、美しく輝きを増し始めた。

<終>

 

尾崎 美樹

尾崎 美樹(オザキ ミキ)  歌手。 1996年2月4日生まれ、青森県八戸市出身。A型。 近藤 金吾 氏プロデュースによる「期間限定アイドル」や、「青森ナイチンゲール」のリーダーとして活躍した。2016年夏、青森ナイチンゲールを卒業。現在は活動の拠点を東京都内に移し、ソロシンガーとして活躍中。 

オフィシャルブログはこちら

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