こんにちは。ハリーです。
これまで「青森日和」では様々なグルメスポットをご紹介してきました。
実は私が個人的に「ずっと行きたくて、仕方なかったお店」がありまして、先日ついに取材することができましたので、今回はお届けしたいなと思います。
結論から申し上げますと「最高に贅沢な時間」過ごすことができました。
今回のレポートは長文で、写真も大量ですので覚悟して読んでくださいね(笑)
幸畑ヒルズの「隠れ家」
そのお店の名前は「Comfortable dining ~konkitchen~」(以下:コンキッチン)

青森市内の山の手にある閑静な住宅街でありながら、青森大学の学生たちで大いにぎわう街「幸畑ヒルズ」にある「隠れ家的なお店」です。

コンキッチンという名前からも想像できるように「今さん」という若いご夫婦が切り盛りしているお店です。時々、愛娘さんが「こども店長」としてお店を手伝うこともあるそうです。
お店の中へ入ってみると、見事なまでに上質な空間が広がっておりました。

ノスタルジックながらもアットホームな雰囲気で、落ち着いて食事を楽しめそうです。

秋らしく、ハロウィンを意識した小物がさりげなく置いてあったり。目に入るすべての物から「こだわり」が感じられ、もうすでに「わくわく」が止まりません。このお店で楽しむ食事は、絶対に「最高」なはずです。間違いない。

ところで、さっきから気になって仕方ないのですが、この「漫画に登場しそうな巨大な肉」は、いったい何なのでしょうか?(伏線です)

大人気の、ランチタイム
コンキッチンのオーナー、今 計実(こん かずみ)さんご夫妻。

計実さんはこれまで、ラーメン、和食、イタリアン、フレンチ、うどん……と様々な世界で料理を修行されたのち、ご実家を改装し、イタリアンのお店として、2013年12月にコンキッチンをオープンされました。
看板メニューは、うどん屋さんで修行した経験などを活かして作った自家製の「生パスタ」

粉からこだわり、材料の配合に試行錯誤し、完成までになんと「3日」を費やすとのこと。
そして、ドレープ状の卵を美しく纏わせた、とても芸術的な「プリンセスオムライス」

その名に恥じない、見た目も味も素晴らしく、生パスタと共に大人気のお料理です。
これらは主に昼のランチタイムで楽しめます。ちなみに、外までお客さんが並ぶこともあるほど大人気メニューなので、食べられたら本当にラッキーですよ。
1日1組限定ディナー
今回ハリーが予約を入れたのは、夜の時間。
余談ですが「夜」っていうだけで「大人な雰囲気」を連想してしまう人、結構いますよね?(私だけ?)
ランチタイムで賑わうコンキッチンには、実は「1日1組限定」という、なんともプレミアムなディナーコースが存在するのです。
想像してみてください。「行列のできるイタリアンレストラン」を「貸し切り」にして「極上のディナー」が食べられるなんて、なかなかできない経験ですよ?

「そりゃあ、予約しなきゃダメじゃん」ってなりますよね?(笑)
というわけで、9月の某日の予約を入れるため、8月中にコンキッチンに直接ご連絡をしました。なんと、運よく希望日に予約を入れることができました。
予約の際に「食べられないもの」や「希望する料理内容」などがある場合も、できる限り対応してもらえます。
私は今回「結婚記念日で」ということと、妻が苦手な食材などを明記し、あとはお店に「おまかせ」でお願いすることにしました。というわけで、どんな料理のコースになるのか、当日まですごく楽しみでした。

ついに、味わいました!
ディナーで案内された席は、お店の奥にある小上がり風の座敷でした。半個室で、木の温もりが感じられる空間。落ち着いてプライベートな時間が楽しめそうです。

食前の1ドリンク

まず最初にドリンクを注文。ソフトドリンクからアルコールまで、多種多様なメニューの中から、我々はフルーツのジュースをお願いしました。
ドリンクを飲んで談笑していると、いよいよお料理が運ばれてきました!
シャドークイーンとタワラムラサキのチーズラクレット

聞き慣れない名前のお芋「シャドークイーン」そして「タワラムラサキ」を使った前菜。
「シャドークイーン」は「アントシアニン」というポリフェノールが多く含まれた、目にも鮮やかな紫色の芋です。アントシアニンはブルーベリーなどに多く含まれていて、眼精疲労の緩和や視力回復だけでなく、メタボの予防にも効果があるのだとか!?

同じく紫のジャガイモ「タワラムラサキ」と共に、アツアツのチーズラクレットを、贅沢にも目の前で豪快にかけてもらえます!! すごい……初めての経験です。

濃厚なチーズラクレットは程よい塩味。そして、紫の芋たちは想像以上にとっても甘かったです。この前菜で、私の胃袋はコンキッチンのお料理にグッと掴まれました。
青森県産ビーツのペペロンチーノ

続いてパスタが運ばれてきました。「ビーツ」という野菜も、聞きなれませんよね? 見た目は「赤かぶ」のようですが「サトウダイコン」の仲間で、ビタミンや食物繊維も豊富なことから「食べる輸血」とも呼ばれる野菜なのだそうです。
青森県産のビーツを混ぜたペペロンチーノは、もちろんコンキッチン特製の生パスタ。その上には、おとなり北海道産の大粒なイクラ(私の大好物!)が乗せられておりました。
「生パスタって、どんな食感なのだろう?」と少し不安でしたが、これが意外にとっても上品な味と歯ごたえで、実に食べやすかったです。ペペロンチーノといっても、ニンニクの香りが強いとか、辛いといったものではなく、やや甘めの健康的な美味しさでした。

ビーツの生パスタ。見慣れない真っ赤な見た目の、これまで食べたことの無いパスタでしたが、すごく気に入りました。たまりません。
uovaとローズマリーのズッパ、ルヴァン種バケットのトースト

続いては、ズッパ&バケットトースト。
「uova」はイタリア語で「新鮮な卵」という意味。「ローズマリー」は薬やハーブとしてもよく使われるシソ科の一種で、「ズッパ」とはイタリア料理で「スープ」のことをいうそうです。身体の芯までホっとするような味で、飲んだ瞬間に笑顔になりました。
バケットのトーストは、今さんの知り合いで青森市勝田にあるパン屋さん「エスベーカー」さんから取り寄せたもの。
使われている「ルヴァン種」とは天然酵母の一種で、すこし酸味が強いことが特徴。酸味を強くすることで、雑菌が抑えられた安定した種となるそうなのですが、このバケットトーストは、思ったよりも酸っぱくないし、サクサクで食べやすかったです。
次に登場するメインディッシュの前に、ちょっと一息つけるようなお料理でした。それでいて、細部に健康的な食材を使った「こだわり」が感じられて好印象でした。
牛肉のカチャトーラ ~ガーデンハックルベリーのソースで~

いよいよメインディッシュが登場です!!「カチャトーラ」とは「猟師風の」という意味をもつ伝統的なイタリア料理の一つです。主にトマトなどの野菜や香草などで味付けした肉の煮込み料理のことをいうそうです。
スプーンのように中央に描かれた、ガーデンハックルベリーのソースに、カチャトーラをつけて食べてみると、口いっぱいに広がる「至福」に言葉を失いました。
美味しい……美味しすぎる……。
中央に添えられた、ピンクの細かい物体、これは何だろう? と思い尋ねてみたところ「フィンガーライム」というフルーツなのだそうです。

その見た目から別名「ブッシュキャビア」や「森のキャビア」と呼ばれる種類のライムで、カチャトーラと一緒に口に含むと、サッパリとした酸味が口いっぱいに広がり、肉の美味しさが増しました。なるほど、これは確かに「キャビア」です。

いやいや、恐れ入りました。お料理の食材ひとつひとつが丁寧な味で、これほどまでに絶品だったとは。
普段なかなか口にする機会のない種類の野菜やフルーツなんかも、意外にペロっと食べられちゃうのには驚きましたね。
ちなみにこれらのお料理コースは、予算やその時に入荷する食材などで内容が変化します。「特に細かく打ち合わせる必要はない」という方は今さんにすべてお任せして、当日をお楽しみに……!!
気になっていた「アレ」
入店した時から気になって仕方なかった、あの「漫画に登場しそうな巨大な肉」は、実は「生ハムの原木」でした!!

青森県大鰐町の「おおわに自然村」で3年近く熟成されたレトロポーク生ハムの原木。しかも「ディナーでしか食べられないメニュー」とのこと……!!
「生ハム大好き人間」の私は、嫁さんに土下座して、追加で注文させてもらいました(笑)
しかも、この日お店にあったのは、なかなか入荷する機会のない「後足」の部位とのこと。
本当に貴重な生ハムで、もしこれと同等のものをイタリアなどから輸入するとなると、とても手を出せない金額になってしまうとか? しかし大鰐町で作られたこの生ハムも、イタリア産のものにも負けない素晴らしい食材なのだそうです。
それを私たちの席まで運んでもらい、今さん自ら目の前で切り分けてくれるという粋なサービスをしてもらいました。

味や匂いにクセもなく、口の中に広がる極上の味。これが、本物の生ハムの味なのでしょうか。私の頭の中で「生ハムの味」という記憶が大きく塗り替えられました。

この日ドライバーじゃなかったら、ワインと一緒に楽しみたかった……(お酒は超弱いですけど)
バニラのジェラート トリュフソルトの香り

デザートの登場です!! 中央のジェラートは、トリュフソルトの香りが心地良いバニラ味。サッパリと食べられるクリームと共に口へ運び、食後の余韻にひたります。
いやいや、食後のデザートまで、味も盛り付けも絶品ですね。
と思っていたら、ディナーコースはこれで終わりではなかったのです!
最後まで、究極のおもてなし
なんと、サプライズで「記念日ドルチェプレート」が運ばれてきました!

かぼちゃのジェラートに、バラの花に見立てた紫芋クリームや、可愛い3色団子などが彩られております。目にも鮮やかな文字は、今さんがチョコレートで描いてくれた、世界で一つだけのもの!

こんな素晴らしいプレートが、花火と共に登場。このサプライズ演出には、大感動で涙が出そうになりました。

食後の1ドリンク

予約の際から飲んでみたかった「3Dラテ」
「うちの嫁さんはシマリスが好き」と伝えたところ、わざわざ練習してくれたそうです!
飲んでしまうのがもったいない……というか、あまりにも可愛すぎて、スプーンでかき混ぜてしまうのが、非常にもったいない。

ラテというか「芸術作品」と呼べるほど、素晴らしいものでした。ごちそうさまでした……。
今さんの「想い」
食後に改めてご挨拶に来てくれた今さんと、じっくりと色々なお話をさせて頂きました。
(以下:筆者ハリーの質問と、今さんの答え)
―どうして「1日1組限定のディナー」を始めたのですか?
ディナーのフルコースは「1日1組が限界」というのが、正直なところです。料理の仕込みからはじまり、お出しするまでに、自分達が納得する100%の力を発揮するためには、申し訳ございませんが1日1組が精いっぱいなのです。

―お料理の細部にまで、100%のこだわりが感じられましたよ。
実は最後に添えるハーブのひとつまで、責任を持ってお出ししております。でも「イタリア料理」って「テーブルマナーにうるさいイメージ」を持たれる方が多いかと思いますが、コンキッチンでは作法は全く気にしなくても大丈夫です(笑)
―「食べやすいイタリアン」というコンセプトなのですか?
イタリア料理って、元々は家庭料理から派生したものですから、気軽に食べられる料理なのです。自分のお家で食べるように、お箸などを使ったりして、くつろいで食べてもらいたいですね。そしてコンキッチンでイタリア料理の美味しさに目覚めたら、ぜひ他のお店でもイタリア料理を食べてもらいたい。うちのお店はそういう人の「入門的なお店」でもありたいですね。

―ご実家で、それも幸畑ヒルズでお店を開こうと思ったきっかけは?
自分のお店を開業しようと思った時に、もっと中心街にある物件も検討したのですが、両親が「実家でやれば?」と言ってくれたことがきっかけでした。「青森」という地名は、その地名と環境が本当にマッチしていて、ステキな場所だと思ってます。世界的に見ても、とても美しい地名だと思います。その中でも僕が生まれ育った「幸畑」って「幸せ」の「畑」じゃないですか。地名に「幸せ」がつく土地に自分のお店を持てたことを、誇りに思います。

―「地元愛」に溢れていらっしゃるのですね。
自分が生まれ育った土地にお店を出すことで、この地域がもっと活性化し、それが青森市全体への活性化に繋がればいいな、と思います。
―「1日1組限定」で良かったな、と思えることはありますか?
お客様との繋がりが深まったことですね。彼女さんへプロポーズをする場所として、コンキッチンのディナーコースを選んでくれたお客さんもいらっしゃいます。「私たちが結婚したきっかけのお店です!」と言ってもらえて、こりゃあ簡単に店を潰すわけにはいかないな、って気合を入れてます(笑)
―ぜひこれからも、青森県産食材を中心としたお料理をお願いします。
もっと美味しいお料理を提供できますよう、精進してまいります。幸畑地区をはじめ、青森県には頑張っている農家さんたちなどがたくさんいらっしゃいます。自分たちが納得した食材を使った「地産地消」を、これからも続けていきます。

―ちなみに、これからの展望は?
オープンした当初から考えていることですが、自分たちが地元で頑張ることによって、例えばこれからお店を開きたい人や、なにか夢を持っている人たちの「前例」になれるような存在になりたいなと思ってます。私たちだけの力では地域を活性化するのは難しいですが、協力してくれる農家さんや、縁あって知り合った方々と一緒に、地域を盛り上げていきたいですね。
超イチオシのお店です!!
筆者ハリーは、これまで青森県以外の場所へもよく旅をしました。近い場所だと、北海道の道東までとか、岩手県から宮城県まで。
行く先々でよく耳にしたのは「うちの地元は、良いものがたくさんあるよ」と、目をキラキラさせて語ってくれる、その土地の方々の言葉でした。そういう言葉を自信を持って言える方に出会えると、ものすごいパワーを貰えたように感じられました。

今回の取材を通して、地元青森の方からも大きなパワーを頂けて、とても嬉しく思いました。
それは今さんご夫婦の並々ならぬ「地元を愛する気持ち」と「自分たちが納得できる100%のものを、お客さんに提供したい」という気持ちに、私も共感できたからです。
「1日1組限定」というプレミアムなディナーコースは、意外な理由から始められたものでしたが、お客さんたちにとっては、それが「最高に贅沢な時間」となり、これがリピーターを増やすきっかけになっているのだと、身を持って感じました。
私もすっかりコンキッチンのファンの一人になりました。今度はディナーコースだけではなく、ランチタイムにも絶対にお邪魔したいなと思います。

最後に……!
最後に「青森でどこか、美味しいお店ないかなー?」とお探しの方へ。
自信をもって申し上げます。
青森市幸畑ヒルズの「コンキッチン」 超イチオシのお店ですよー!!
